劇的!ビフォーアフター 物件159 階段を上がると換気扇が止まる家 で出てきたアイデアをチェックしましょう。
今回は、江戸時代に作られた古い民家を何とか使い続けている託児所付住宅のリフォームです。
日曜大工的に手を加えつつ今まで使ってきた住まいですが、傷みや老朽化が相当激しい状態です。
全体的に古い形態なので、使いやすくするためには大きく手を加える必要がありそうです。
昔の良質な材料を何処まで生かせるのか、という点がリフォームのポイントとなるでしょう。
古いだけに足回りはひどい状態です。
しかし上部はかなりしっかりした作りで、当時の大工さんの技術の高さや木材の質の良さを感じます。
広い敷地を生かして、なんと大胆にひき家(曳家)を行いました。
大事な部分を外して骨組みの下部を鉄骨で固定、引きずる形で移動させます。
既存の束石を持ち出して、住まいの下部の地面を1mほど掘削します。
土台を新たに追加して、曳家した家を元の場所に戻しました。
曳家はコストが掛かりますが、敷地が広い古民家を再生する際には良く使われる手法です。
確実な基礎が作れるという長所があります。
基礎部分には5m程の深さの管を2本埋設です。
昔住まいがあった部分に新たな基礎を作り、昔の束石を利用して蓄熱層を作っています。
5mの深さの安定した温度を蓄熱層に蓄えつつ、空調に活用する方式ですね。
骨組みの弱い部分を補強、屋根は全面的に新調です。
通常より性能の高い断熱材を、外壁全体に充填します。
さらに外断熱も加えて、ハイレベルの断熱性能を確保しました。
地熱利用の空調を最大限活用する為には、断熱性能の向上が欠かせないのです。
浴室には床暖房を設置、湯船に入るお湯を利用しているので、入浴直前に暖房可能な上手い方式です。
床は石張りで、壁・天井はヒバ材で温泉風のデザイン、さらに坪庭も出来て、快適な浴室となりそうです。
学生を利用しての草むしりや砂場作りは特殊な例ともいえ、ご愛嬌でしょう。
広いので、業者に依頼すると結構コストがかかります。
託児所の床は特殊な畳を使用してメンテナンス性を重視、通り土間と一体にも出来て、使いやすさが向上しました。
戸にはギャラリースペース付で、楽しさをプラスしていますね。
ふすまに張られた書を戸のパネルにして再生、書院は補修して再利用です。
床柱や長押は昔ながらの味わいがある材料を再利用、このあたりが古民家再生の大きなポイントとなります。
床の間の奥は大胆にデザインされてロールブラインドも追加、普通の床の間と家宝の飾り棚、両方での利用が可能です。
ただ床の間には特にこだわりがある人もいるので、計画段階で確認しておくことは必要でしょう。
天井のレールとステンレスリングからネットを吊り下げました。
風船を入れてボールプールの利用などが可能で、リングを使ってイベントの飾りつけなどにも活用できます。
外観は杉板をシックに見せつつ、現代感覚をプラスしています。
壊れそうだった門も新規に作り直して、庭につながります。
駐車場には、井戸水利用の雪を溶かす装置付です。
住宅用玄関には古い長持で作ったベンチを設置、バリアフリーに配慮しています。
天井の高さを確保する為でしょうか、床面がかなり低く地面に近いのでアプローチも楽です。
キッチンは対面式で、広く明るい空間、キッチンには井戸水専用の水栓も追加されています。
住まいと託児所を柔らかく繋ぎ、見守りながら、料理を託児所に出しやすい作りです。
座敷の掘りゴタツと食台をつないで使えるアイデアは、この番組らしいところで、微妙な使い勝手とも感じます。
縁側は全開放サッシで開放感一杯となりました。
広い庭を満喫できます。
濡れ縁の木材は敷地に植わっていた建材用のヒバの木を利用、先祖の知恵がここで役に立ったわけですね。
北側の縁側の突き当りには水廻りを集中、竹のフローリングを採用、かなり和風で個性的です。
託児所はデッキから砂場につながる作りです。
可動テーブルは面白いのですが、子供のいたずらが危険な気もします。
託児所専用のトイレと洗面所も新設です。
2階に上がる階段は一新です。
2階は夫婦の寝室と子供部屋に分かれ、寝室には大きなクローゼット付です。
クローゼットには古いたんすを埋め込み、化粧台付と余裕のある作りです。
ベランダ新設で布団干しも楽になりました。
二人の為の子供部屋は屋根裏を利用、二つの入り口で将来の個室化に備えます。
古民家の子供部屋らしい作りといえますね。
今回は古民家再生のスタンダードな手法に、最新の断熱・空調などのシステムや新鮮なアイデアを盛り込みまとめた印象です。
建物の両側にある縁側を上手く活用して、快適な住まいにまとめられていますね。
素直ながら考え込まれたアイデアに、好感が持てるリフォームとなりました。
しかしタイトルの換気扇が止まるというのは、素人の手直しで生じたものなのですから、無理があるのでは?
古民家再生ではインパクトに欠けるという事情もあるのでしょうけど・・・。
リフォームの内容がよかっただけに、余計に違和感を感じてしまいました。