住まいを設計する場合に、設計者が行う内容を大まかに紹介しましょう。
設計者によっては順番が変わる事もありますが、内容については大体同じような感じです。
まずは、建て主であるあなたの要望を詳しく聞きます。
家族の人数や年齢を始めとして、必要な部屋や必要なスペースや機能、大事にしたい生活パターンなど、理想的な住まいの設計を進めるために必要な情報をできるだけ詳しく聞きます。
このときに、工事の予算や建てる敷地も確認します。
予算から、住宅の大まかな広さが決まりまります。
広さに対して予算が少ない場合はローコストとする工夫が必要ですし、予算に余裕があれば仕上げや設備などにコストを掛けることが出来ます。
敷地の測量図がある場合は敷地の大きさや形をチェックして、敷地の境界部分の状態を確認します。
次に、現場に行って敷地の実際の状態を確認します。
敷地の境界位置や道路の幅、上下水道の有無や敷地の高低差など、設計に必要な情報をしっかりチェックします。
敷地測量図がある場合はその確認を行ない、測量図がない場合は敷地の測量を行う場合もあります。
また景色が良い方向や隣地との関係、道路とのつながり方や敷地の高低差など周囲の状況もチェックして、より良い住まいの設計に生かします。
建て主の要望や敷地条件を確認した上で、いよいよ住宅の設計に入ります。
玄関廻り、リビング廻り、水廻り、各個室など大まかな配置を考えていきます。
この時点では、スケッチブック上など(設計者によってはCAD上で考える人もいます)でつながりを考えながらラフに書きますから、他の人が見てもほとんどわからない状態であることが少なくありません。
だんだんアイデアが固まってくると、実際に図面を書き始めます。
このときには大体外観や断面もイメージされていて、立面を同時に描く場合もあります。
平面図ができると、施主であるあなたとの打合せがはじまります。
最初は必要な部屋や設備がきちんと入っているかを確認しつつ、全体のつながりやイメージを確認します。
立面図では全体の形がイメージにあっているか確認して、修正する部分や更に考えるべき部分を打ち合わせていきます。
この時に立面図まで見せると情報が多すぎると感じる場合もあるので、立面を提示しない設計者もいます。
この場合、打合せで平面がある程度固まってきた時点で始めて立面を見ることになります。
基本的にはこの平面図と立面図を中心に打ち合わせていくことで、住まいのイメージを固めていきます。
ここで模型やパース、コンピューターグラフィックなどを活用して、全体のイメージを確認する場合もあります。
平面と立面が決まると、各部屋の壁や建具など詳細な図面を書き、順次打ち合わせていきます。
依頼する設計者やハウスメーカーによっては、この部分が無い場合もあります。
ここでは、中に配置する家具や機器を図面に配置したりして、問題なく入ることや使い勝手などを確認していきます。
建具のデザインや、作り付けの家具のデザインなども決めていくことになります。
キッチンや洗面所・浴室などの衛生設備や、照明機器など各設備機器もカタログやサンプルを見たり、ショールームに行ったりすることで決定します。
ほとんどの図面が決まってきたら、実際にかかる工事費を見積りします。
総額が出ると予算をオーバーしていることも少なくないので、無駄な部分を削ったり仕上材をワンランク安い物に変更したり、より安くできる工法を採用するなどして住まいの金額を予算内に納めます。
可能であれば、住まいづくりの予算を増やすことも検討します。(ただし、後々のメンテナンスなどを考えると無理は禁物です)
設計と工事費が決まった後で、役所などに建築確認申請や工事届けを提出します。
確認申請以前に、道路や水路の状況など敷地条件によっては事前に確定したり調査しなければならない場合もあるので、他の届出が予想される場合には早めに手続きを行います。
見積前に確認申請する場合もありますが、見積の結果次第では変更が必要となることもあります。
計画変更届けを出す必要が出てくる場合もあるので、工事期間に余裕がない場合を除いては、見積り後に確認申請を行うほうが余計な手間を減らせます。
確認申請が下りると、いよいよ工事に入ることになります。(確認申請が不要な場合は、工事届けを提出した後工事に入ります)
住まいを設計する際には、たくさんの図面が描かれます。
図面によって見るべきポイントと、注意すべきポイントがいろいろあります。
以下にそのポイントをまとめてみました。
住まいを依頼する相手(設計者やハウスメーカー)や設計内容によっては、該当する図面がない場合もあり、また他の図面と一緒に1枚に描かれている場合もあるので注意してチェックしましょう。