JAS 日本農林規格は、農林水産大臣が制定する規格です。
JAS規格の格付のための検査の方法は、農林物資の種類ごとに農林水産大臣が定められています。
飲食料品及び油脂、木質建材や畳表、生糸など53品目について規格が定められています。
建築関係では製材、合板、フローリング及び集成材等の木質建材と畳表が関係することになるでしょう。
JAS格付等の業務が的確に行われていることを確認するのは(独)農林水産消費安全技術センターです。
登録認定機関の業務の実施状況の調査や、JASマーク製品の買い上げと分析等を実施しています。
JAS規格では、木質建材に対しては
寸法の許容差
外面の品質(節、割れ、きず等の見た目の品質)
含水率
接着性能
強度に関する性能
ホルムアルデヒドについての放散量の基準及び表示の基準
等について規定しています。
畳表では、用語の定義を定め、幅、長さ、たて糸の種類・本数、織り方、1㎡当たりの重量、水分、品位等の品質の基準及び表示の基準等を定めています。
木質建材には、製材や集成材、ツーバイフォー材や合板などが含まれます。
材料の寸法などは比較的分かりやすいのですが、外面の品質や含水率などは測定する人や位置によっても変化しやすく、かなりのばらつきがあります。
最近話題のホルムアルデヒドについては5つの等級が定められていますが、最近の建材では使用面積に制限が無い最高等級の建材が多くなっているので、それほど気にする必要はないでしょう。
建材におけるJAS規格の問題点は、規格の判断にばらつきが生じやすい点とホルムアルデヒドしか規定していない点です。
無垢の木材は乾燥が進んだり年月が経つと寸法が小さくなる傾向があります。
接着剤には経年劣化がありますから、製造年に注意する必要もあるのです。
有害物質はホルムアルデヒド以外にも多数あるのですが、ホルムアルデヒドを減らす換わりに他の有害物質が増える傾向もあります。
しかし他の有害物質については規定がないので、使用できる限界(ホルムアルデヒドの最低基準程度)まで使用することでホルムアルデヒドの使用量を減らしているという現状もあるのです。
建材におけるJAS規格は、参考程度に考えるべきといえるでしょう。
規格が曖昧な(元々自然素材でばらつきが多いので巾を持たせている)ので、厳密にはできないという事情がある点と有害物質についてはホルムアルデヒドに対する規定しかないという欠点を持つからです。
合板など化学物質を使用する建材では規格を満たすことが最低限必要ですが、製材等については各々の製材の強度を測定・分類する方が有効といえるでしょう。