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“ワンルーム”で“7LDK”の家

渡辺篤史の建もの探訪のデザインやアイデアを活用

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渡辺篤史の建もの探訪 東京都東久留米市・太田口邸−“ワンルーム”で“7LDK”の家 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。

 

渡辺篤史の建もの探訪 “ワンルーム”で“7LDK”の家 は、ご夫婦と息子さん二人で、4人家族の住まいです。
建物の外観は、木とガルバリウム鋼板を組み合わせたボックスタイプです。
広いポーチ部分にはポリカ波板の屋根があり、屋外側の木の板は濃い色で着色、屋根の内側の木の板は素地(ナチュラル塗装かも?)で仕上げています。
段差をコンクリートの階段で上がるアプローチで、道路側には広い駐車スペースもあります。

ポーチの床は大谷石、木製のベンチ付きで、壁面の開口から周囲の景色が眺められます。
屋根の傾斜に沿って斜めに上がる部分の外壁面は、塗り壁(厚塗吹付?)仕上げ。
ポーチ内の本体壁面も同じ仕上げで、建物本体部分の壁は塗り壁とガルバリウム鋼板の組み合わせとなります。

ポーチに面した大きなガラス引き戸が玄関戸、大谷石の土間が玄関機能を果たしています。
少し上がった木板床のダイニングキッチンが玄関とワンルーム、その為に広いポーチで屋外と縁を切っていたのです。
さらに正面の曲面の壁に沿って登る階段で、2階部分とも空間がつながっています。

開放的なワンルーム空間の大部分は天井が高く、屋根から吊り下がる形の小部屋も見えます。
壁面の1面は補強?の合板柱を活用した棚となり、屋根はグリットに組まれた梁で支えられています。
その棚の中には、アップライトのピアノやレコードなども入り、天井にはスリット型のトップライトがつきます。

ダイニングから四角く切り取られた横長開口からキッチンが見えて、さらにその先にある同型の窓から隣地の緑が見えます。
長いダイニングテーブルは7脚付、両親との食事にも対応します。
ポーチ面の壁には、腰高の大窓も備わり明るさと景色を取り入れています。

細い通路を通ってキッチンにアプローチ、ダイニングと近い距離感の割には動線が離れている印象です。
囲む壁がかなり広いので、開口や窓以外の部分は囲まれ感も感じられます。
長い対面式のキッチンに加えて、背面には長いカウンター収納も備わります。
対面となる壁面収納の中には、5つの小窓があって表情を豊かにしているようです。

キッチン脇の通路を降りると、半地下のような水廻りと洋裁が趣味の奥さんのスペースに通じます。
奥さんの為の空間には曲面壁の内側にあわせた曲線机カウンターが備わり、ダイニングスペースとも小窓でつながる空間です。
この曲面壁は、奥さんの強い要望で実現したようです。

水廻りは入口側にトイレの個室、その奥にまとまれた洗面・洗濯スペースがあります。
ワンピース型の鏡が備わり、独自のセンスが伺われます。
さらに奥にある浴室は、濃紺の丸いモザイクタイルが床や浴槽廻りから天井まで貼りつめられています。
その天井も一面は壁と曲面でつながり、一体感のある個性的な浴室を強調。
庭が少し見える小さな窓や黒い浴槽と合わせて、洞窟のような空間を実現しています。
トイレは壁と天井が全面赤でインパクトがありますが、床以外全面が赤なので好き嫌いも出そうなトイレともいえます。

曲面の壁沿いに階段を上がると、上からダイニングスペースやその先にある外の景色が眺められます。
上がった部分は全体的に子供のスペース。
ダイニング側の曲面壁の腰壁には机カウンターが備わり、階段奥の曲面壁の先には四角い開口の先にネコの部屋があります。
ハシゴや小窓、空気清浄機などが備わります。
机カウンターの奥が天井が低いベッドスペース、将来は子供部屋となるようですが、現在はご主人の寝室です。
小窓が2つに大きめの引き戸で仕切られ、通常は開放できる部屋でもあります。

ベッドスペースからさらに3段上がると通路があり、その上には開放的な小屋裏収納があります。
転落防止の手摺を利用したステップ付きです。
その先にもダイニングに向かって開放された、机カウンターが備わります。

その奥、キッチンの上が寝室空間です。
ベッドが置かれる必要最小限の空間で、横につながる玄関上の通路部分が物置場となっています。
通路部分は窓が大きく、ポーチを見下ろすこともできますし、ダイニングや曲面壁階段を見下ろすことも出来ます。

階段スペースに戻って、さらに上がるとタタミのスペースに出ます。
3畳ほどのコンパクト空間で、子供用のテントが置かれています。
手摺壁の高さが低めでちょっと危険、その壁には梁から吊っているパイプも見られます。
ここも階段の曲面壁が続き、こだわりを感じさせる空間とも言えそうです。


“ワンルーム”で“7LDK”の家 は、木造在来工法、敷地面積208㎡で建築面積64㎡、延べ床面積はポーチも含んで101㎡です。
1階は64㎡で2階は36㎡、4人家族としては少し小さめ、しかし開放的な間取りで余裕も感じられます。
建築費は2200万円で坪単価は72万円、高低差のある敷地に容積が大きく複雑な空間、こだわりの水廻りや大きな曲面壁を多用している点を考えれば、少し高価となる点も納得できそうです。
開放的な間取りで内壁や扉が少なくなっている為に、見かけよりコストを抑えられているのかもしれません。

今回の住まい 東京都東久留米市・太田口邸−“ワンルーム”で“7LDK”の家 は、ワンルームの空間に曲面壁と小部屋を組み合わせた独自の空間が印象的でした。
基本的には開放的な空間ながら、囲まれ感のあるキッチンや水廻り空間を組み合わせて、魅力と使いやすさを兼ね備えていたのです。

隙間に部屋を作る形なので部屋が狭くなりがちで、危険な部分も生じやすいという欠点も見られましたが、全てにつながりのある楽しさが感じられる空間として強い魅力が感じられました。
曲面階段を組み合わせた次の段階のスキップフロアの住まいとして、印象に残る住宅だったといえそうです。

“箱階段”中心につながる家 “ワンルーム”で“7LDK”の家 3.6m×16m国産材・木組みの町家

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