渡辺篤史の建もの探訪 神奈川県藤沢市・片貝邸−中庭が結ぶ住まいと仕事場 で紹介されているデザインやアイデアをチェックしましょう。
渡辺篤史の建もの探訪 中庭が結ぶ住まいと仕事場 は、ご夫婦と二人の息子さん、４人家族の住まいです。
建物の外観は、左右２つのボックスがコの字型につながる、シンプルモダンなデザインです。
敷地の周囲は芝生、道路に面してテーブルと椅子が置かれていたり、中庭前には古いワーゲンが綺麗な状態で置かれていたり、独特のセンスが伺われます。
建物本体にも駐車場があり、こちらもクラシックカーでローバーミニ。
コの字型の間の中庭はコンクリート打ち放しの壁で目隠し、壁の一面を木板としてアクセントとしています。
そこに大きなパラソルとテーブルが置かれ、中心にはヒメシャラのシンボルツリー。
テーブル脇にはシャワーや流しも備わり、多目的に使えます。
木の枠の玄関ドアを入ると、正面の坪庭にモミジが見えます。
その前にはオブジェのようなデザインコートハンガー、住まいの作りだけだけでなく、家具にもモダンなセンスが感じられます。
玄関右手が生活空間、壁と同じ白色の引き戸を開けると、正面にシンクが２つあるコの字型の大きなアイランドキッチン。
さらに奥にはＬＤＫ空間が広がり、中庭に面する壁には引き戸付きの大きな一枚ガラスの開口があります。
キッチンはコの字ながら３つのワークトップが独立、ＬＤに対面するアイランドシンクと壁付きのシンク、さらにタイル調の壁に面したＩＨヒーターのコンロ部分の３つです。
切れているので動きが自由で、多人数で料理しても動きやすくなります。
ＬＤにあるシンプルな鉄骨階段から、２階と中２階に上がることができます。
リビングスペースには、イサムノグチのテーブルにコルビジェの椅子、さらに座面が深い大きなソファーが備わります。
天井部分も高くなっていて、余裕と明るさを感じる空間です。
ダイニングの照明もデザインされたファンシェルランプ、大きなダイニングテーブルは中庭に面していて、一体的にも感じられる空間です。
造り付けの収納や壁の色は基本が白色、そこにアクセントカラーの壁や家具が映えます。
シンプルな階段を上って、車庫の上が中２階。
二人の子供の共有部屋で、かなりの広さがあります。
壁には子供二人が描いた絵が並び、ＬＤＫを見下ろせる窓もあります。
将来は２つに仕切ることも出来る広さがありますが、窓の配置はバランスが今ひとつとなりそうです。
同じデザインのシンプル階段を上がると、手前が寝室です。
広めの空間に広い専用バルコニー付、余裕と明るさがたっぷり感じられる部屋です。
書棚が備わる廊下の先に、水廻りの空間があります。
トイレと洗面所がワンルーム、ガラスの壁やドアで仕切られるシステムバスと、全てがワンルームに感じられる作りです。
ちょっと使いにくさはありそうですが、開放感や明るさを優先した水廻りとなります。
（１階の間取り図を見ると、大きな手洗い付きのトイレがあるので、使い勝手の点で大きな問題はなさそうです）
浴室の窓からは、バルコニーの先の屋根の上に夜空が見えそうです。
さらにトップライト付、自然の光で自然な色の化粧が出来ます。
玄関の隣には落ち着いた和室。
坪庭に面した空間で、少し高めの地窓からモミジが見えます。
濃い色のタタミに石積み調？のクロス、濃い色の天井に高い位置の障子窓と、落ち着いた雰囲気でまとめています。
玄関を左に進むと、白い床の仕事場に通じます。
天井が高く壁や天井も白で、クリーンな印象としています。
大きなテーブルにパソコンが置かれる、作業兼打ち合わせのスペースです。
ハイサイドライトに加えて中庭にも面した、明るい空間でもあります。
階段を上がると、２階が奥さんのワークスペース。
作業テーブルに作業カウンターが備わり、本格的なミシンが置かれています。
カウンター正面の四角い窓からは、バルコニーのプランターが見え、１階の打ち合わせ空間ともつながっています。
作業の為に篭りつつも、周囲を感じられる工夫が備わります。
奥さんのワークスペース下が撮影スタジオ。
こちらも全面白い空間ですが、道路に面した壁は木板貼りの全面スライドドアで、大きなものの搬入も容易です。
間取り図を見ると別玄関の事務空間もあるようですが、今回は紹介されませんでした。
中庭が結ぶ住まいと仕事場 は、木造、敷地面積２５４㎡で建築面積１４４㎡、延べ床面積２１４㎡です。
１階は１４１㎡で２階は７３㎡、アトリエ併用住宅とはいえ、４人家族として十分以上の広さを確保しています。
建築費は不明、大きな窓や広いキッチンなどコストを上げる要素と、比較的シンプルな作りや仕上げで、一般的な坪単価には収まりそうです。
今回の住まい 神奈川県藤沢市・片貝邸−中庭が結ぶ住まいと仕事場 は、敷地の広さを生かした開放感のある明るい空間が印象的でした。
広い中庭を中心に住まいと仕事場を分離しつつ、中庭やバルコニーを介して住宅部分とのつながりも持たせていました。
生活空間は広いワンルームが基本、個室の仕切りも必要最小限として窓を効果的に配置、ほとんど全ての部屋で開放感が感じられたようです。
住まい自体のモダンデザインに加えて、インテリアも個性的で良いデザインの製品を持ち込んで上手にまとめられていました。
ワンルームの水廻りや仕事場とのつながりなど、好き嫌いはありそうなのですが、開放感とつながりを上手く取ったプランは、シンプルモダンな住まいづくりの参考になるものだったといえそうです。
