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耐震性と耐久性という言葉は似ています。
そして共に、地震に対する強度にも強く関係している言葉です。
そこでこの2つの言葉はどのような内容なのか、ちょっと詳しく紹介しましょう。

耐震性は、地震に対する建物の強さを表す言葉です。
耐震性が高い建物は、地震で強い揺れても壊れにくくなります。
建物の現時点(新築時や調査時)の地震に対する強さを表すことが一般的で、通常は建物の劣化によって耐震性が徐々に低くなっていきます。

耐久性は、年月の経過によって傷みの進みにくさを示します。
耐久性が高い場合は、長い年月が経過しても、新品とあまり変わらない性能を保てます。
住まいの強度に限らず、防水性や断熱性や気密性などさまざまな部分に当てはまる言葉です。
初期の性能を長く保てるか否かを示す言葉なので、構造部分から仕上材や設備や窓など、色々な部分に当てはまります。


住宅の耐震性能を考える場合、耐震性が高いだけでなく耐久性が高いことが大切です。
住宅を新築した直後は、現在の基準で作った建物であるならば高い耐震性能を確保していると言えます。
しかし住まいを建ててから時間が経つと、だんだんと色々な部分が傷んできます。
耐震性を確保する為に重要な構造部分や金物部分も、だんだんと劣化します。
重要な構造部分が劣化すれば、住まいの耐震性もだんだんと下がってくることになるのです。


では構造部分を劣化させる原因はどんな事があるのか、紹介しましょう。
木造では、木自身の強度と接合部分の強度(金物の強度)がポイントです。
RC造では、コンクリート部分のアルカリ性の確保と鉄筋部分の錆がポイントです。
鉄骨造では、鉄骨部分の錆と接合ボルトやリベットなどの強度がポイントとなります。

この全ての構造において耐久性を長く確保する為に共通する重要なポイントは、ずばり水分です。

木材が適切な保存状態ならば100年持つことは、住宅メーカーの100年住宅などの宣伝(これは健全な構造部分だけしか考えていないという重大な欠陥があるのですが・・・)をみても分かります。
RC造も100年近く、鉄骨造では鉄骨の厚みと防錆処理によって変わりますが、重量鉄骨だと通常50年以上の耐久性を持っています。

しかしこの構造部分が常に湿っているような状態だと、その耐久性が急激に短くなるのです。
湿気が多い状態になると、木造では木の腐れやシロアリの被害を受けやすくなり、金物も錆びて強度がなくなってしまいます。
RC造では、常に水分に曝されるとコンクリートの中性化が進んで強度が低下、中の鉄筋まで錆びてしまいます。
鉄骨造でも、水分が多いと錆の進行が早くなることはよく経験することです。


では、その水分がどこから来るのでしょうか。

比較的分かりやすいのは、屋根や壁や窓からの雨漏りです。
そして、給排水の設備部分からの水漏れも分かリ易い場所でしょう。
この部分の耐久性が、住まいの自体の耐久性にも大きく関わっているのです。

難しいのが結露の問題です。
窓ガラスなど、表面に見えている結露はすぐにわかります。
しかし窓ガラス同様の結露が壁の中や天井裏で起こった場合は分かり難い為に発見が遅れ、構造部分の劣化につながる可能性が高くなってしまます。
このような外から見えない結露のことを内部結露と呼び、住宅の耐震性や耐久性に大きな影響を与えます。

この内部結露を完全に防ぐことは、非常に困難です。
湿度が高い状態では、外気と室内の気温の差が少しでもあると、そこで結露が生じてしまうのです。
外壁の中で温度が変化するところは、断熱材の裏と表の部分です。
つまり、断熱材廻りで結露が生じやすい事になります。
(断熱材を使用していない住宅の場合、外部仕上材の裏と表や内部仕上材の裏と表など、一番結露しやすい部分が色々考えられますが、隙間も多い住宅のはずなので、結露してもすぐに乾燥して影響が少ないとも言えるのです。)

その断熱材廻りを必要以上に気密性を高くすると、結露した水が乾燥できずに構造部分の劣化を促進してしまうのです。

気密性が高ければ湿気自体も入りにくいというのは、結露に関する限りは誤りです。
魔法瓶のように真空を保てるほどの気密性があれば正しいとも言えるのですが、わずかでも通気性が有る限り、湿気は入ってきます。
そして一旦結露したら、気密性が高い分だけいつまでたっても水が蒸発できないので、構造部分の劣化が進んでしまうのです。
この蒸発が難しいという状態が、結露した際の一番の問題点です。
結露の危険性が大きい部分については、しっかり通気性を確保することが住まいの構造部分の耐久性を高める重要なポイントとなるのです。


せっかく耐震性が高い住まいを建てても、耐久性が悪ければ構造部分が早く劣化して耐震性まで悪化してしまいます。
住宅の耐震性を高めたい場合には住宅を丈夫に作ることに加えて、耐久性を高くすることも大切なポイントとなるのです。

 

住まいづくり研究室                               2012年10月9日更新
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