劇的!ビフォーアフター 物件188 つっかい棒で戸締りする家(後編) で出てきたアイデアをチェックしましょう。
今回は物件188 つっかい棒で戸締りする家 の後編です。
いよいよリフォームの全体が見えてくるので楽しみです。
屋根は軽量なガルバリウム鋼板に吹き替えです。
和風に見せるために木製の鼻隠しを採用ですが、位置が不自然なので とって付けたような印象もあります。
外壁は和風らしく下見板張り、その板を押さえる押さえ縁には平木をそのまま利用して隙間が空いています。
板に合わせてぎざぎざに加工するとコストと時間がかかるので、雰囲気重視ということでしょう。
アルミの窓には古風な千本格子を追加、大切な景観に配慮しつつ、目隠しの効果も狙います。
リビングには薪ストーブを設置、薪の入手から煙突掃除まで手間が大変ですが、暖かさや楽しさの点では大きな利点があります。
依頼者の昔からの夢ですから、こだわりが感じられるところです。
周囲を大谷石で覆って、耐熱対策しています。
玄関正面の中庭には、LED照明付の大きな石で作った手水鉢を設置、打ち水もできる機能を追加しました。
風情と夏の涼しさを追加しています。
温水で雪を溶かす仕組みも取り入れて、よく考えられた風流で粋な中庭の完成です。
今度は銅板に醤油を塗って錆を発生させ、古い味を出す加工をしています。
その銅板の一文字葺きで覆った木枠を作り、古い行灯をリフォームした際の土台としました。
木の防腐効果がある銅板を使うことで、銅板の色が変わってゆく味わいと耐久性を上手く加えましたね。
外観はシックな黒をベースに、周囲に馴染む雰囲気でまとまりました。
玄関床は中庭の床と同様の仕上として、空間に広がりを感じさせています。
下駄箱や壁の厚みを利用した小物入れも付いて、使いやすくなりました。
リビングの上部は吹き抜けが復活、たくさんの小窓と大きな和風照明、さらに天井扇も付きました。
囲炉裏の枠を再利用した座卓は、中に飾りスペースつきです。
キッチンはダイニングと一体で、脇にはタタミの客間も付きます。
ワインレッドのシステムキッチンは、和風の住まいにもぴったり似合います。
ダイニングテーブルの中央には、大黒柱がそびえます。
そのダイニングテーブルは2つに分割できますが、かなり広い部屋なので、あえて分ける必要はないかもしれません。
廊下に面した建具は、多くを再利用して使っています。
夫婦の寝室は板の間でベッドとなり、家族で漉いた紙を使った照明を設置。
大きな窓で明るい寝室となりました。
水周りももちろん大改修、トイレは最新となり、洗面所には扉付の洗濯機スペースも備わります。
浴室扉は木製で、浴室の壁も木の桧で覆われます。
大きな浴槽周りは石張りで、床暖房も付きました。
浴室からは綺麗になった裏庭の景色も楽しめます。
増築部分を撤去して広くなった裏庭には、ウッドデッキや物干し台への木製階段が付きました。
物干し台も安全に作り直され、より活用しやすくなったようです。
玄関脇に戻った箱階段と、傾斜が緩やかになった普通階段から2階に上がります。
箱階段は中庭の明かり、普通階段は吹き抜けの天窓からの明かりによって、共に明るい階段となりました。
2階の半分は一続きの空間として、家具で3部屋に区切りました。
子供3人それぞれが、趣味や個性に合わせた家具を作ることで、使いやすさに配慮しています。
上部がつながっているので、家族の気配が分かるところも特徴となります。
2階の渡り廊下は、吹き抜けや箱階段や中庭と、景色の変化を楽しみつつ進めます。
しっかりした作りの2階の和室はほとんどそのままのデザインで、必要な部分のみを新しくしました。
伝統的なつくりと一番感じられる空間ですね。
劇的!ビフォーアフター 物件188 つっかい棒で戸締りする家 は、本格的な古民家改修の中に現代的な使いやすさやデザインを取り入れる手法として大いに参考となりました。
再利用できる部分や、一番最初の平面計画の良い所を復活させつつ、最新設備や現代和風を取り入れてまとめられていましたね。
本格的な古民家そのままのリフォームと違って、新しさをしっかり取り入れているところがポイントですが、じっくり見ると伝統的な古民家の再生としては物足りない部分も感じられます。
特に伝統的町並みが保存された整備地区の建物としては、外観で新しい材料を使ったり、加工の手間を省いたりしたところが気になりそうなりフォーム内容なのです。
とはいえ人が快適に住むためのリフォームとしては、一番バランスが取れた手法ともいえそうです。
古い良さを生かしつつ新しい便利な機能を追加することは、他の古民家を再生する際にも効果的で参考に出来るリフォーム内容なのです。
今回はバランスの取れた古民家再生の為の、良質なアイデアや適切な手法をたくさん教えてくれたリフォームだったといえそうです。